あらゆる意見と、話し合い、議論する。~学術会議任命拒否問題~

菅首相の学術会議任命拒否問題。

ご存知かと思います。

 

■安保・沖縄…政権にもの言う学者除外?日本学術会議人事
朝日新聞デジタル 2020年10月2日
https://www.asahi.com/articles/ASNB17J68NB1UTIL03Q.html

 

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「学者の国会」ともいわれる日本学術会議で、長年守られてきた人事の独立が破られた。

会議が新会員として推薦した105人のうち6人が、菅義偉首相によって任命されなかった。

政府から理由の説明は一切なく、会員らからは「学問の自由を保障する憲法に反する行為」と批判が相次いだ。

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このニュースを聞いて少し怖いな、と感じた人も多いのではないでしょうか。

理由も述べずに、反対意見を述べる人物の排除。

 

この強硬姿勢は、多くの方々が少し疑問に感じたのかもしれません。


そもそも、どのような方々が任命を拒否されたのでしょうか。

少し見てみましょう。


東京新聞 2020年10月1日】
菅首相が学術会議の任命を拒否した6人はこんな人 安保法制、特定秘密保護法辺野古などで政府に異論
https://www.tokyo-np.co.jp/article/59092


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「政策提言を行う国の特別機関「日本学術会議」が、新会員として内閣府に推薦した法律・歴史学者ら6人の任命について、菅義偉首相が拒否していた問題。6人は安全保障関連法や特定秘密保護法などで政府の方針に異論を示してきた。政府の意に沿わない人物は排除しようとする菅政権の意図が浮かぶ」

 ■東京大社会科学研究所教授の宇野重規しげき教授(政治思想史)
 2013年12月に成立した特定秘密保護法に対し、「民主主義の基盤そのものを危うくしかねない」と批判。「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼び掛け人にも名を連ねていた。07年に「トクヴィル 平等と不平等の理論家」でサントリー学芸賞受賞。


 ■早稲田大大学院法務研究科の岡田正則教授(行政法
 「安全保障関連法案の廃止を求める早稲田大学有志の会」の呼び掛け人の1人。沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設問題を巡っては18年、他の学者らとともに政府の対応に抗議する声明を発表。


 ■東京慈恵会医科大の小沢隆一教授(憲法学)
 15年7月、衆院特別委員会の中央公聴会で、野党推薦の公述人として出席。安保関連法案について「歯止めのない集団的自衛権の行使につながりかねない」と違憲性を指摘し、廃案を求めた。


 ■東京大大学院人文社会系研究科の加藤陽子教授(日本近現代史
 憲法学者らでつくる「立憲デモクラシーの会」の呼び掛け人の1人。改憲特定秘密保護法などに反対してきた。10年に「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」で小林秀雄賞を受賞。政府の公文書管理委員会の委員も務めた。


 ■立命館大大学院法務研究科の松宮孝明教授(刑事法)
 17年6月、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法案について、参院法務委員会の参考人質疑で、「戦後最悪の治安立法となる」と批判。


 ■京都大の芦名定道教授(キリスト教学)
 「安全保障関連法に反対する学者の会」や、安保法制に反対する「自由と平和のための京大有志の会」の賛同者。

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東京新聞 2020年10月1日】菅首相が学術会議の任命を拒否した6人はこんな人 安保法制、特定秘密保護法辺野古などで政府に異論
https://www.tokyo-np.co.jp/article/59092

 

 

この任命拒否した方々のプロフィールをみますと、菅政権と反対の意見を持つ方々のように感じられます。

反対意見、反対の考え方を持っている人を排除するという考え方は、今の米国政権と同じ考え方のように感じられます。

 

そもそも、米国の思想は、「自由主義」「民主主義」「資本主義」というイデオロギーが頭に浮かびます。

私たち日本人も、戦後このような考え方に大きく影響を受けて来たのではないでしょうか。

 

ただ、米国が掲げてきた「自由主義」「民主主義」の考え方は、今回の学術会議任命拒否問題ニュースと、異なる考え方の結果ではないでしょうか。

「話し合う」という前提が、民主主義。

 

異なる意見をぶつけ合い、様々な意見でそれぞれの良い点やメリットも見出すことができます。

より良い議論をするうえでも、自由闊達に意見を述べる。

 

このような考え方は、民主主義の根本を支えるものではないでしょうか。

このような問題から想起することは、今の日本、そして今の米国は「民主主義」とかけ離れた政権が、政治全体の実権を握っているのではないか、という仮定です。

 

話し合わない、議論しない政治は「独裁」かもしれません。

今まで私たちが疑問を持ってきた、北朝鮮も、話し合わない「独裁国家」です。

 

もし、「異なる意見と話し合う」という行動そのものを消去するのでしたら、今私たちの取り巻く政治は「独裁国家」にもなりかねません。

戦争に入るとき、厳しい言論統制と弾圧が敷かれると一般的に言われています。

 

自由な意見や考え方を封鎖し、政府の意向以外のものを弾圧するのかもしれません。

あらゆる意見と、話し合い、議論する。

 

この「プロセス」を実施することこそ、そのものが「民主主義」なのではないでしょうか。

 

 

 

 

<参考>操られる民意=山田孝男

毎日新聞2020年10月5日

https://mainichi.jp/articles/20201005/ddm/002/070/070000c

日本学術会議新会員候補6人の任命を首相が拒否したことに驚いたが、新聞の扱いに大きな差が出たことにもっと驚いた。朝日、東京、毎日は1面トップか準トップで学者組織への権力介入を批判。読売、日経、産経は社会面か内政面の2段か3段、事実に絞って伝えた。どのメディアで知るかによって、出来事の印象は違ってくる。この事実は社会の分断を映し出している半面、接するメディア次第で人の思考が変わり得る可能性も示している。」